6.内容等
(1)オホーツク圏の食品産業
網走支庁管内をオホーツク圏と呼ぶが、北東部はオホーツク海に面し、西は大雪、南は阿寒の山岳に囲まれた地域で、漁業、畑作、酪農、林業など第一次産業が基幹をなしている。圏内の食品産業については、地場の豊富で良質な農水産資源を背景に、313事業所、従業員数8,260人、出荷額2,500億円となっている。中には特徴ある企業や比較的大規模な企業も多いが、地域特有の課題も多いのが現状である。
(2)冷凍すり身の昨日、今日、明日
1960年、西谷らによりスケトウダラ資源の利用開発研究を行い、水産練り製品の原料として無塩冷凍すり身を開発した。1965年には洋上で加工船による生産が始まり、冷凍すり身の生産量は急増した。製造技術や製法なども改良され、1970年代後半にはほぼ現在の方法が確立された。また、原料もスケトウダラだけでなく、マイワシやブナザケ、ホッケ、マダラ、グチ、エゾ、ハモなど多くのすり身が製造されている。これからは原料魚の不足が心配されているが、新規商品の開発などに期待がもたれる。
(3)北海道糖業におけるバイオ事業の現状と展望
北海道糖業では1968年に酵素メリビアーゼの製造を開始し、バイオ事業をスタートした。現在の研究の主なものとして、高品位クロレラの製造、糖質関連酵素生産菌の分離、新規オリゴ糖の開発などがあり、関連企業や大学、公的機関などとの共同研究を行っている。近く、札幌にバイオ工場が完成するが、北見工場とあわせて、さらに発展させる計画である。
(4)地ビール会社の設立と展開
政府の規制緩和を受けて、オホーツクビール株式会社を設立し、いち早く地ビールの生産に取り組んできた。生産規模は1仕込み1キロリットルで、糖化方法はデコクション法による。ビールの生産と併設のレストラン事業を通して地場農産物の利用、副産物の還元など、地球経済におよぼす影響は大きいものがある。
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